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      ワインはどういうお酒?      ワインの歴史         ワインの産地      ぶどう原料

      ワインの兄弟            ワインは古いほど良い?  なぜビンは上げ底?  ビン貯蔵

      横にして貯蔵するのはなぜ?  コルク栓           シャトーとはなに?   ロゼの色

      ヴィンテージ            白ワインとロゼを冷やすのはなぜ?  ビンの形   ビンの色



   【パリでワインを楽しむ本のご紹介】 −パリのバラヴァン12カ月− (98.11.21掲載)
パリのバラヴァン12カ月
    本書は、私の友人のお知り合いの 石川 直幹 (いしかわ なおみき) 氏が
    6年間のフランス在住経験をベースに10月に出版された、エッセイ風の
    バラヴァンガイドです。「バラヴァン」とは、しゃれた喫茶店の雰囲気を
    もったフランス風の居酒屋と思って頂けば良いと思います。

    フランス国認定のソムリエの資格をお持ちの氏が、オーゾンヌやディケム
    などの名醸ワインとは異なる、地方に根付いた手ごろでおいしいワインが
    飲め、かつフランスの気取らない家庭風料理の食べられる「バラヴァン」
    を紹介されています。パリへのリピーターはもちろんのこと初めてパリに
    出かけられるワイン好きのあなた、本書を片手に、「パリでバラヴァン」
    してみてはいかがでしょう。

   ・パリのバラヴァン12カ月:日本図書刊行会発行(定価:1300円+税)→


  目次へ戻るワインはどういうお酒?
    ワインは、ぶどうの果汁を発酵させてつくられる醸造酒のことで、フランス語でバン
    (Vin)、英語でワイン(Wine)、ドイツ語でバイン(Wein)、イタリア
    語でピノ(Vino)といいます。

    ワインを製法から分類するとつぎの三つに分けられます。

    非発泡ワイン(Still Wine)
     生ぶどう酒といわれる本格ワイン。ぶどうをつぶし、その果汁を発酵させたもので
     アルコール度数はだいたい10〜12度ぐらいです。

    発泡性ワイン(Sparkling Wine)
     シャンパンがその代表的なタイプ。泡を含んだワインです。
     アルコール度数はスティルワインとほぼ同じです。

    酒精強化ワイン(Fortified Wine)
     果汁が発酵する途中で、ブランディなどを補強してアルコール度数を上げたワイン。
     ワインのなかに自然の糖分が残されるので、甘い酒ができ上がります。シェリー、
     ポート、マディラなどがこのタイプ。

  目次へ戻るワインの歴史
    今から1万年ぐらい前から、既にぶどう栽培が行われていたといわれています。
    紀元前4000年の青銅器時代の墓で、ぶどうの種子が発見されています。
    ワインの発祥地は中近東、小アジアといわれ、そこからギリシャ、ローマに伝わりました。
    ワインが文献に最初に登場するのは、古代バビロニアの法典であり、発掘された古代エジ
    プト王の墓の壁画から、ぶどうの栽培、発酵、地下貯蔵の様子を知ることもできます。

    キリストがワインを「わが血」とよんで赤ワインを与えたことから、キリスト教の普及と
    ともに急速に各国でぶどう栽培がされ、ワインが醸造されるようになりました。

    フランスでは1152年、エレオノール女公が後のイギリス王ヘンリー2世と結婚した時
    ボルドーを含むフランス西半分のぶどう産地がイギリス王室の所有になったことからイギ
    リスがフランスワインの最大の市場になり、この頃からワインの醸造が盛んになりました。

    ドイツでぶどうが栽培されるようになったのは意外におそく、1106年に修道士たちが
    ヨハネスブルクにぶどう園を開き、1131年には、ラインガウ地方の修道士がシュタイ
    ンベルクにぶどう園を作っています。

    イギリスは自国でぶどう栽培ができませんでしたが、国民が広く愛飲していたため、フラ
    ンスワインのほかシェリーやポートなどを多く輸入していました。
    こうしたイギリスの輸入が、ヨーロッパのワインづくりや経済にさまざまな影響を与えま
    した。

    一方、日本でのワインの歴史は遣唐使の時代までさかのほり、遣唐使や留学生が帰国する
    際にぶどう苗を持ち帰り、日本の各地に植え付けたのがぶどう栽培の始まりといわれてい
    ます。12世紀頃、甲州の雨宮勘解由が路ばたで発見したぶどう蔓を自家の庭に植えたと
    ころみごとに栽培に成功したため、だんだんと栽培する農家が増えたといわれています。

    明治10年になって、宮崎光太郎らによって大日本山梨葡萄酒株式会社が創設され、今日
    の日本のワインの基礎を築き上げました。
    戦後、山梨県を中心としてつくられる日本ワインは先人達の研究と努力が実を結び、国際
    ワインコンクールで受賞するまでになりました。

  目次へ戻るワインの産地
    ぶどうは北半球、南半球ともに気温が10℃〜20℃の広い地域で栽培されています。
    ぶどうの産地がワインの産地になっていて、なかでもフランスは最大の醸造ワインの産地
    として世界のワインをリードしています。
    ボルドー地方(Bordeaux)とブルゴーニュ地方(Burgundy)のワイン、シャンパニュー地方
    のシャンパンが有名です。

    その他、ドイツのラインワインとモーゼルワインも名声をはくしており、ラインワインは
    愛称を「ホック」と呼び、なかでもラインガウのワインが最高級品とされています。


  目次へ戻るぶどう原料
    なんといってもワインは原料であるぶどうの出来いかんにかかっています。
    日本のぶどう品種は、ヨーロッパ系ではボルドーのセミーヨン、カベルネソービニオン、
    メルロー。アメリカ系では、コンコード、デラウェア、ナイアガラなどがあります。
    また、国産系では、甲州、マスカットベリーA、ブラッククィーンなどがあり、常に風土
    にあった品種改良が行われています。

    アメリカ系の品種は生食用が中心で、ヨーロッパ系・ボルドーのカベルネソービニオンや
    メルローが赤ワイン用に、セミーヨン、甲州が白ワイン用として栽培されています。

  目次へ戻るワインの兄弟
   ●シャンパン
    普通のワインは、十分に発酵してからビンに詰めますが、シャンパンは発酵が終わったら
    さらに少量の糖分を加えてビン詰めします。
    ビンの中で糖分が二次発酵をおこし、その結果生じた炭酸ガスが酒の中に溶け込みます。
    シャンパンとは、フランスのシャンパニュー地方でできるワインだけをいい、他の地方の
    発泡性ワインは、「ムスー」と称さねばなりません。

   ●ベルモット
    植物性香辛料やよもぎなどの薬草を加えて、ワインに芳香と香味をつけたのがベルモット
    です。今日のベルモットは、18世紀にイタリアで生産が始まりました。
    このベルモットは、主として食前酒として飲まれます。

   ●シェリー
    スペイン南端地域でつくられるのが正統のシェリーで、貯蔵、熟成の段階で特殊な皮膜を
    形づくる酵母を使って、ワインの液面に皮膜をつくらせます。このために、シェリー酒は
    アーモンドに似た独特の香味がします。

    シェリーは、なるべくアルコール分の高いワインを醸造し、さらに醸造の終わったワイン
    にブランディを補強します。
    シェリーはスペインが本場ですが、他にオーストラリア・フロール・シェリーやイギリス
    でブレンドしたブリストル・ミルクなどがあります。

   ●ポートワイン
    ポルトガルのオポルト港から積み出しされるワインをポートといいます。
    収穫したぶどうをラザールという石かコンクリート製の四角い槽に入れ、特製の靴を履い
    て中で踏みつぶします。つぶしたぶどうを、2〜4日間発酵させ、粕は枠で液中に沈め、
    十分に色素を抽出します。この酒液を、必要ブランディを入れた樽にうつしてポートの
    新酒にします。熟成にはかなりの時間を要します。

   ●マディラ
    モロッコ沖に浮かぶポルトガル領のマディラ島で産するデザートワインをマディラと呼び
    ます。商社が農家から買い付けた果汁を使って醸造します。発酵が終わったワインを特別
    な室(むろ)に入れ、60℃前後で3〜4ヶ月間ベーキングした後、果汁にブランディを
    補強した甘味酒をベーキングしたワインに加えてつくります。

   ●ブランディ
    ワインはぶどうを原料とする醸造酒ですが、ブランディは同じくぶどうを原料としながら
    蒸留してつくられる酒で、40〜60度という強酒です。
    本格ブランディでは、ワインを多少の”おり”が混ざったまま蒸留するのが普通ですが、
    他に数種の製法があります。

    フランスでは、コニャック地方で産するブランディを特に「コニャック」として、政府の
    規格ももとで保護されています。

  目次へ戻るワインは古いほど良い?
    ぶどうづくりは天候に大きく左右され、雨量の多い年のぶどうでつくったワインは概して
    品質にばらつきが生じます。
    年号が古いことよりも、ぶどうが豊作で良質のぶどうが穫れたかどうかでワインを評価し
    ます。当たり年のワインなら年とともに美酒になっていきます。

    では、美酒ならば永久に味が向上するかといえばノーです。有名産地の高級ワインですら
    一定の飲みごろがあります。飲みごろ過ぎたワインはだんだんと風味が落ちていきます。

  目次へ戻るなぜビンは上げ底?
    ビンの底がポッコリと盛り上がっているのは、観光地の土産品のように、不当な理由から
    ではありません。ワインはビン詰の後も熟成を続けますから、当然”おり”が生じます。
    ワインを注ぐとき、”おり”がモヤモヤと浮き上がり、グラスを濁してしまいます。
    その”おり”を底に残すための溝なのです。ことに赤ワインは”おり”が多く生じます。

  目次へ戻るビン貯蔵
    良質のオーク材でつくった樽にワインを2〜3年貯蔵してからビンに詰めて貯蔵します。
    ワインは、ビン貯蔵の後も熟成を続け、まろやかさやコクを増していき、ワインの格調を
    一段と高めていくのです。

    ブランディやウィスキーも樽貯蔵期間中は熟成を続けますが、ビン貯蔵の後は熟成が止ま
    ります。ここがワインと異なる点であり、ワインが「生きもの」といわれるゆえんです。

  目次へ戻る横にして貯蔵するのはなぜ?
    ワインは栓を抜くときまでは必ず横に寝かせておきます。立てておくと、乾いたコルクを
    通し空気が入りすぎて酸化を早める心配があります。輸送中などの振動ですら多少の変化
    が見られるほどワインは微妙な「生きもの」なのです。
    また、立てておくとコルク栓が乾きすぎて、栓が抜けにくくなってしまいます。

  目次へ戻るコルク栓
    ワインにコルク栓が用いられるようになったのは17世紀のはじめからで、地中海沿岸産
    のコルク樫を加工したものです。

    天然コルクは、弾力がある、振動を吸収する、熱が伝わりにくい、無味無臭といった特徴
    のほか、ワインの貯蔵、熟成のためにさまざまな良い影響を与えます。

  目次へ戻るシャトーとはなに?
    本来はフランス語で、城とか館を意味しますがワインの醸造所をシャトー○○と呼ぶのは
    ○○荘、○○屋敷といった程度の軽い意味合いです。
    一流のシャトーともなれば、ぶどうの栽培から醸造、更にビン詰めまでコースを一貫して
    自家で管理し、自家の銘を打って販売しています。
    シャトーを冠するワインは、そのシャトー名に恥じない自慢の銘柄と思って間違いありま
    せん。

  目次へ戻るロゼの色
    ロゼワインは、よく熟した黒ぶどうをつぶして仕込みます。果皮のうらの色素やタンニン
    が十分に溶け出す前のちょうど24時間ぐらい経過した頃に果皮を除去します。こうして
    バラ色のワイン(通称ピンクワイン)が生まれるのです。

    このワインは色ばかりでなく、甘さや渋さも赤ワインと白ワインの中間なのです。
    もしも同じ黒ぶどうを果皮うらの色素やタンニンが出つくすまで発酵を続ければ赤ワイン
    ができあがります。ロゼを飲むときは、白ワインと同じぐらいの温度に冷やします。

  目次へ戻るヴィンテージ
    ぶどうの当たり年に良質のぶどうから高級なワインができた年のものを年号ワインといい
    その年をヴィンテージと称しています。
    つまり、高級ワインは当たり年の年号入りということになります。

  目次へ戻る白ワインとロゼを冷やすのはなぜ?
    白ワインやロゼは清涼飲料的なスッキリした香味をもっていますから、冷やして飲んだ方
    がひんやりした爽快さが得られます。6℃〜12℃ぐらいに冷やして飲むわけです。

    よく、「赤ワインは室温で飲む」といいますが、今日では暖房などの影響から室温自体が
    上がっています。14℃〜18℃ぐらい冷やせば、はるかに美味しくいただけるはずです。
    ワインクーラーがなくとも冷蔵庫で冷やせばよく、風味に変わりはありません。
    ただ、急激な冷却はさけることが必要です。

  目次へ戻るビンの形
    産地により、国によってビンのタイプが異なり、それぞれ出身地をあらわしています。

    ボルドー
     肩ばった形のビンはボルドータイプで、日本のワインボトルもこのタイプが主流です。

    ブルゴーニュ
     ボルドーよりは肩がなだらかになっています。

    ライン、モーゼル
     なで肩の細長いビン(フルートタイプといっています)が特徴で、ライン、モーゼル
     とも同じタイプです。但し、ビンの色が異なり、茶色がライン、緑がモーゼルです。

  目次へ戻るビンの色
    薬やビールが茶色のビンに入れてあるのと同じ理由から、ワインも茶色や緑のビンに入れ
    てあります。色つきのビンは光を遮りますから、ワインの中味に変化を与えません。
    特に、赤ワインの天然の色を保護するため着色ビンを用いるのが普通です。
    一方、白ワインは、その色調がわかりやすいように白ビンを使っています。

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